シンクロする「ゼロからイチ」~1stライブ雑感

4th前に一度1stの映像を振り返っておきたいなあと思った矢先にこれですよ。

結局2日分まるまる見てしまった。もう何度見たか知れない、彼女たちの第一歩。

 

 

1stライブ以来、2nd、ファンミ、函館UC、3rdと追いかけてきましたが、この1stは以降のライブとは別種の、独特の緊張感があります。

あまりにも偉大な先代からバトンを受け継いで、初めての大舞台。私たちには想像もできないほどのプレッシャーを背負っていたことが、インタビューやラジオで何度も語られています。

私たちは1stライブ('17)から横浜アリーナという大きなステージを用意していただいて。でも、それはやっぱり手放しに喜べないというか、自分たちのがんばった成果として用意してもらえたものではないから、怖くても不安でもやらなきゃいけないっていうプレッシャーに、ずっと追われてきたんです。 -逢田梨香子(『B.L.T.』2018年9月号)

実際よくよく見ていると、ふとした瞬間に余裕ないんだろうなあって表情をしているんですよね。もちろん体力的にフルサイズのライブを歌い切るのがしんどかったというのはあると思いますが、それ以上に、尋常じゃないくらい気を張り詰めていたことが窺えます。

 

μ'sへの憧れから始まった彼女たちの旅路。目指すべき高みはあまりに遠く眩しい。世間からはどうしたってμ'sと比較する目で見られます。自分たちは受け入れてもらえるのだろうか、期待に応えられるのだろうか、という不安と恐怖。1stライブまでの1年間は本当に苦しかったと語っていたのは伊波杏樹さんです。

そうですね。やっぱり、最初はこんなに受け入れてもらえると思っていなかったから。始まって1年くらいの想いは、たぶん一生忘れられない。自分の中でも一番苦しかった時期だったんですよ。大好きな作品に関わる上で、大好きなだけじゃダメなことをすごく感じたし。-伊波杏樹(『VOICE BRODY』Vol. 2)

でも、そこにあるのは恐怖だけではありませんでした。

変わりたい、輝きたい、ゼロからイチヘ踏み出したい。心からの叫び。作中の千歌たちと同様に、彼女たち9人もまた「変われそうで変われないとき」の中にいました。1人では不安や恐怖に負けてしまいそうだとしても、巡り合った仲間と一緒なら、ゼロからイチの段差を越えられるかも知れない。いや、越えてやる。だから精一杯あがこう。そんな意志が1stのステージからは滲み出ていました。

 それを最も強く感じたのは、ライブ終盤の「MIRAI TICKET」でした。初見ではアニメ一期13話を思い出してボロボロ泣くことしか出来ませんでしたが、改めて、ああ、彼女たちは役を演じているだけではなくて、彼女たちが浦の星の少女たちそのものなんだなと気付かされました。9人の想いが作中の少女たちとシンクロしたあの瞬間は、あまりに輝いていました。

特に逢田梨香子さんの「輝きたい!」にはやられましたね…3rdのソロ曲でその表現力をいかんなく発揮した彼女ですけど、内に秘めた感情を撃ち出す力がありすぎる。

 

最近『ラブライブ!』が紹介されるときは必ず「シンクロ」という言葉が使われます。アニメとリアルのシンクロ。それは振り付け(馬跳びやバク転も含め)で「アニメと同じ動きを再現する」ことだと普通は認識されます。それだけでも十分すぎるほどすごいことをしていますが、本当にすごいのは「想い」のシンクロです。キャラクターとキャストがひとつになり、Aqoursという概念が圧倒的な実在性を伴って顕現する。キャラクターに寄り添い、同じ壁にぶち当たりながらも、一緒に走り続ける9人だからこそ達することのできる境地。そんな人類の奇跡を目の当たりに出来るのがAqoursのライブなんですよ。

 

着地点が見つからないのでこの辺で締めます。

1stは、Aqoursを取り巻く当時の環境とプレッシャー、アニメ一期で紡がれた物語、そして彼女たち自身の想いが結実した、奇跡のような一度限りのライブです。あらためてAqours好きだなあと、原点を再確認できました。このタイミングで配信に踏み切ってくれたことに感謝です。

今週末の4thライブでは、どんなシンクロを見せてくれるんだろう。