散々な世界を、それでも。 〜An seule étoile ~Rythme d’été~感想

わりと勢いで書いたのに投稿してなかった感想記事です。

伊波杏樹さんの個人イベントは初参加でしたが、神戸まで遠征して本当に良かったと思えるライブでした。

 

伊波さんの個人活動を追い始めたのは昨年後半頃から。まだまだニワカもいいとこです。Aqoursのライブで見せる全身を使った表現力の豊かさに魅せられた私は、これまで彼女が出演する舞台を追ってきました。昨年末の『アンチイズム』以降は何だかんだどの公演にも一度は足を運んでいます。

そこで見る彼女の姿は、当然ながら「役」として九条奈々やメーテルといった他者の人生を生きる伊波さんでした。だからこそ、個人イベントで楽しみにしていたのは、「伊波杏樹役・伊波杏樹」がどんな表現をするのか、どんな言葉を語るのか、という点です。「自分のことが好きではなくて、だからこそ“役”として他者の人生を生きることに喜びを見出した」と(うろ覚えですが)言っていた彼女は、どんな表現をするんだろう。歌を通してどんな想いをぶつけてくるんだろう。そんな期待の中で、舞台の幕が上がりました。

 

開演してからはあっという間に時間が過ぎ、気付けば休憩時間になっていました。いや、オタク特有の盛った言い回しだとお思いでしょうが本当なんですってこれが…。

1曲め『亜麻色の髪の乙女』の歌い出しからしっとりとした雰囲気に引き込まれて。

『ラムのラブソング』では致死量の可愛さを摂取し危うく意識が飛びかけて。

本家よりキレッキレに踊る『フライングゲット』に圧倒されて。

他にもたくさんたくさん。もう色々ありすぎて。

 

とにかく、曲ごとのキャラクターの振れ幅があまりにも大きいんです。NamiotOの試聴動画を見た時から感じていたことではありますが、実際に会場で目の当たりにするのとでは全然違いました。役者としての彼女の表現力の幅広さについては知っている積もりでいましたが、まさか歌でもここまでやってくるとは…。また新たな一面を知ることができました。

アンエトの選曲は伊波さん自身が行っているので、歌詞のメッセージは彼女自身が伝えたいことであり、曲ごとのキャラクターは全て彼女の一部なのだと思っています。従って、今回の歌での表現は「役を演じる」のとはややニュアンスが異なり、内側から湧き出るものを演技力によって適切に出力している感じでしょうか。伊波さんは割と「憑依型」なので、前者と後者は綺麗に分けられるものではないと思いますが…いずれにせよ、感情を出力する高い技術に支えられたパフォーマンスですので、役者としての面目躍如と言えましょう。

 

後半は初っ端『丸の内サディスティック』からA.Saxを演奏する伊波さんに驚かされました。実際「私の年収、低すぎ…?」のポーズで固まりましたからね。ラジオで「楽譜はまだ読めないけど運指と音だけ覚えて吹いた」と言っていた通りシンプルなフレーズだけなんですが、音色が楽曲にガッチリ嵌っており格好よさの極致でした。楽器始めたての段階でああいう「合奏の楽しさ」を感じられるのは素晴らしいことです。半年後とかにはめちゃくちゃ上達してそうで楽しみ。

一方で、伊波さんほど多忙な毎日を送っている人が新しいことに挑戦しているのだから、自分が色々「あれやりたい」「これやりたい」と思いつつも手を付けないでいるのは怠慢だよなあ…と思ったりもしました。出来るかどうかよりやりたいかどうか、なんですよね…。

 

そしてMCでは、色んな想いを語ってくれました。まずはミュージカル出演決定の話。情報解禁当時、私も大喜びで涙ぐみながら限界リプライを送った1人なんですが、本人の口から改めて喜びと決意を聞くことが出来てまた泣きそうになりました。

さらに「新しい夢」として「武道館に立つ」ことを宣言。遥か彼方の夢に向かって真っ直ぐ手を伸ばす彼女の姿は何よりも美しくて…まったく、そんなこと言われたらまだまだ付いて行かなきゃいけないじゃん。仕方ないな。

 

「歌を通してみんなを応援したい」という話もありました。文面だけだと月並みにも程がある言葉ですね。歌い手は多かれ少なかれ似たようなことを言っていますから。しかし、伊波さんの生き様を見てきた私たちにとっては、その言葉は明確なメッセージとなって胸に迫ってきます。夢を諦めるんじゃない、って。

「この中に夢を諦めようとしてる人がいたら、私が絶対そんなことさせない!」「私が給水所に立って待ってるから!」物凄く力強い言葉ですが、夢に向かう足取りが現実という壁に阻まれた時のしんどさを誰より知っている人だからこそ出てくる言葉なんですよね。

その想いは、En.前ラストに歌った『ラフ・メイカー』で明快に表現されていました。この世界では苦しいこと悲しいことが沢山あるけれど、そんな時こそ私の歌を聴いて笑ってくれ! ラフ・メイカーを“演じる”彼女の姿からは、夢を見つける為の一歩を、夢を叶える為の一歩を、強く強く後押ししようとする生き様がビシバシ伝わってきて。歌が好き、という気持ちだけでやってきた身長158cmの女の子がこんなに大きな存在になっている、という事実に感じ入りました。

 

いやあ、ほんと、爽やかな気持ちで神戸文化ホールを後にすることができましたね。

今の仕事に就くのが夢だった訳じゃないけど、よりよく生きる為に仕事頑張ろうと思いました。

夢と言えるほど大層な物じゃないかも知れないけれど、やりたい事やっていこうと思いました。

すげえな伊波杏樹

 

実は開演前、仕事関係の嫌なメールが入ってて若干憂鬱になっていたんですよ。返信内容を考えるのも億劫でしたがそれ以上に「うわー神戸まで来てこんな事考えなきゃいけないのか…」って。

でも伊波さんの歌を聞いて、言葉を聞いて。状況は何も変わっていないのに、やってやるぜという気持ちが湧いてきて。帰りの電車の中でババっとメール返しました。どうだ!やってやったぞ!って。単純すぎて自分でも笑っちゃうくらいです。

 

あと、目標が1つできました。バンドやりたいです。前々から「やってみたいなー」とぼんやり思っていたのですが、今回の生演奏を見てやっぱバンドいいなと思ったので。

私はクラシック音楽界隈の人間でTubとEuphくらいしか吹けないので…まずはそこですね。LLBSとかで編成的に出られるセッションを探しつつ、身内にSaxやGtを教えてもらおうと思います。

 

散々な世界ですけど。

人生を、やっていきましょう。

 

 

以下セトリのメモ。刺さった曲はiTunesで買っていきます。

 

M1. 亜麻色の髪の乙女 / 島谷ひとみ
M2. 君に届け / flumpool
M3. 夏祭り / JITTERIN'JINN
M4. ラムのラブソング / 「うる星やつらのテーマ」
M5. フライングゲット / AKB48
M6. ひまわりの約束 / 秦基博
M7. 未来予想図II / DREAMS COME TRUE
M8. 丸の内サディスティック / 椎名林檎
M9. ジッパ・ディ・ドゥーダ
M10. Bi-Li-Li Emotion / Superfly
M11. シャングリラ / チャットモンチー
M12. 死ぬこと以外はかすり傷 / コレサワ
M13. ラフ・メイカー / BUMP OF CHICKEN
EN1. もし叶うなら / 伊波杏樹
EN2. またあえる日まで / ゆず